リアルタイム移住日誌

神奈川県から長野県の安曇野へ移住した、“ちょっと理屈っぽい筆者”のリアルタイムな移住記録。

PASSPORT for the FUTURE

部屋を片付けていたら、こんなタイトルの小冊子を見つけた。

”PASSPORT for the FUTURE”

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筆者が子供の頃、家族と東京電力のイベントに行った時にもらったものだ。

発行は、東京電力原子力業務部、日付は、1992年6月とある。ページを開くと、「エネルギーのエース!原子力発電」「地震だって平気だよ!」「自分で自分をコントロール かしこい原子力発電」といった見出し。本文を読んでみると、子供でも分かるように噛み砕いた文章で、原子力発電の重要性とその素晴らしさが書かれている

f:id:ijyuu:20150607203458j:plainへっちゃらじゃないよ

中でも印象的なのは、「核融合エネルギー」のページの小見出し

「ミニ太陽をつくって、発電!」

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この少年は将来どんな大人になるのだろう…

思想家の中沢新一氏が著書の中で書いていたことを思い出す。

原子力技術は、太陽の力そのものを生態圏に取り込み、太陽からの贈与なしで生きていくためのもの。核エネルギーを欲望する信仰の根幹には、人間が完全にスタンドアローンでやっていくという願望がある、と。

原子力発電は、他の発電に比べて効率が良いとか、火力発電よりもエコだと言う人もいるが、事故が起きれば本末転倒。そのことはすでに3.11の福島第一原子力発電所事故が証明している。今後、同じような災害が起きないとは言いきれない。合理的な発電方法とは思えない。

また、オーストリアのように原子力発電を利用せずに、安定した経済を持つ国もあり*1原発が無ければ国が破綻するというわけでもないはずだ。にもかかわらず、人々が原発再稼働に固執する背景には、中沢氏が指摘しているような根の深い理由があるからかもしれない。

原発の問題以前に、贈与性を切り捨てた資本主義というシステムに欠陥があるのではないか*2だとすれば、どこかで転換する必要があるはずだ。と政治家でも学者でもない筆者が鼻息を荒くして論じたところでどうにもならない。諦めではなく現実として、家でこまめに節電するとか屋根にソーラーパネルを取り付けるとか、まずは自分のできる範囲でシフトしていくしかないと思う。

”PASSPORT for the FUTURE” 世の中が原発再稼働へと向かいつつある5年目の日に独り言。

*1:関連記事

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*2:関連記事

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