エコロジーファーム
機会があって三重県にある「伊賀の里モクモク手づくりファーム」を訪れた。『田舎力』(金丸弘美著、NHK出版)に紹介されているのを読んで、とても気になっていた場所である。
広すぎて施設の全容が収まりきらない。豊かな自然に囲まれていて良い雰囲気
食と農がテーマの体験型施設で、広い敷地には、牛や豚のいる牧場をはじめ、地ビール工場やレストラン、温泉、宿泊施設などがある。
宿泊用コテージ。中は意外と広く大人5人くらい寝られる。トイレと浴槽付きでロフトもある
牧場やレストランを持つ体験型施設は珍しいものではない。ではここの何が特別なのか?
ひとつは、食育とエコロジーを主題に置いている点。施設内の食事はどれも手作り。食材の野菜や肉は施設内で育てられていて、生産の場も見学することができる。電力には風力発電や太陽光発電も利用。ゴミを増やさないために施設内には自動販売機は置かれていない。その他にも環境に配慮した取り組みが行われている。かといってストイックすぎず無理なく楽しみながら食や自然環境について学べるのが良い。
もうひとつ特筆すべき点は、働いているスタッフが「モクモクファーム」のコンセプトを共有していること。コミュニティーデザイナーの山崎亮氏が著書*1の中で、ディズニーランドが魅力的なのは、スタッフがキャスト(出演者)として来場者を楽しませようとしているからであると書いていたがそれと重なる。従業員としてただ業務をこなすのではなく、キャストの存在が楽しい空間を作り上げている。来場者に対してはお客様というよりも家族や友人のようにアットホームな雰囲気で接してくれる。そのことによってファンが生まれ、リピーターを増やしている。
生産者と消費者が分断された現代。食や環境について楽しみながら見つめ直すことのできる魅力的な場である。
そういえばモクモクって何?
*1:『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』(学芸出版社)