リアルタイム移住日誌

神奈川県から長野県の安曇野へ移住した、“ちょっと理屈っぽい筆者”のリアルタイムな移住記録。

新規就農者のためのゲリラ的農業論

全国新規就農者センターが新規就農者を対象にとったアンケートによると、7割強の人が現在の農業所得では生活が成り立たないと回答しているそうだ。

『キレイゴトぬきの農業論』(久松達央著、新潮新書)は、脱サラして農業を始めた著者による農業論。農業で強かにサバイブするための“ゲリラ的戦略”が綴られている。

茨城県土浦市にある農園で年間50品目という多種類の野菜を有機農法栽培。会員と飲食店に直接販売している。

新規就農者は土地もお金も家も技術も設備もない、というマイナスからのスタートです。まずは既存の農家と同じことをやっていたら追いつけない、という認識が必要です(P99)

新規就農者であってもアイディアと工夫しだいで農業で生計を立てられると著者は語る。小さい有機農家が生き残るための戦略は次の3つ。

安売りの土俵に乗らない

→安さでは大規模農業にかなわないため、高品質・高価格路線をとる。

引っかかりは多い方がいい

→有機認証は一つの引っかかりでしかない。お客さんが評価してくれる特徴は積極的に数多く打ち出していくことが重要。

手持ちの武器で戦う

→発信力とネットワーク力が強み。インターネットも積極的に利用して、消費者に向けて情報をオープンに。

そして、著者が目指すのは肉やスイーツのようにやみつきになる“エロうま野菜”。野菜の味の8割を決めるのは、①栽培時期(旬) 、②品種、③鮮度の3要素という。

「適した時期に、適した品種を健康に育て、鮮度よく届ける」。栽培から販売までの全てが、このコンセプトに沿って組み立てられています。(P97)

今後TPPの影響で日本の農業はどうなるのだろう。大きな打撃となるか海外への輸出のチャンスとなるか。いずれにしてもこのご時世、農業で生計を立てることは簡単ではない。これからの農業は、現状の理解と戦略が欠かせない。

キレイゴトぬきの農業論(新潮新書)

キレイゴトぬきの農業論(新潮新書)