リアルタイム移住日誌

神奈川県から長野県の安曇野へ移住した、“ちょっと理屈っぽい筆者”のリアルタイムな移住記録。

複業のすすめ

『月3万円ビジネス』藤村靖之著、晶文社)は、普通のビジネス書ではない。

ちょっと変わったビジネスについての本である。

この本の冒頭で、

「月3万円ビジネス」というのは、月に3万円しか稼げないビジネスのことです。いいことしかテーマにしません。このビジネスはたくさん有ります。なにしろ月3万円しか稼げないので、脂ぎったオジサンは見向きもしません。つまり、競争から外れたところにあるビジネスです。だから、たくさん有るのです。(P7)

ここでいう”いいこと”とは、人や社会が幸せになること。ソーシャルビジネスのことである。

 著者の藤村氏は、非電化製品の発明・開発を通してエネルギーに依存しすぎない社会システムやライフスタイルを提唱(非電化冷蔵庫、非電化住宅など)。

また、アジア・アフリカ諸国にも、非電化製品を中心とした自立型・持続型の産業を提供している。

「月3万円ビジネス」は、顧客を奪い合う「競争のビジネス」とは異なり、

顧客や知識を他者と共有する「分かち合いのビジネス」だという。

では、月3万円でどうやって暮らしていくのかというと、

月3万円ビジネスを複数組み合わせて必要な収入を得る。これが複業である。

また、そうして複数の収入源を持つことをマルチプルインカムという。

 

「月3万円ビジネス」の前提として挙げているのは、

  1. 支出が少ない生活スタイル
  2. 固定費が0のビジネスモデル
  3. 複業

1の「支出の少ない生活スタイル」については、

暇な時間をたくさん作り、その時間を「支出を少なくする」ことに充てます。野菜や穀物を作ったり、エネルギーを作ったりします。一人でできなければ仲間と作ります。(P17)

2の「固定費が0のビジネス」とは、

自分たちの家で、自分たちが暇な時に働きます。スタッフは必要な時だけ暇な人にきてもらいます。暇な人は、いいことで愉しいことなら喜んで安く働いてくれます。(P30)

3の「複業」は、複数の仕事をすることで、売れたり売れなかったりしてもある程度は均されて安定するとのこと。

この他にも、「仕事と趣味と社会活動を切り離さないようにすること」や、

「借金をしないでビジネスを立ち上げる方法を考えること」などを挙げている。

 

本書の中でいくつか「月3万円ビジネス」が紹介されている。

  • 卵を1日20個売るビジネス(平飼い鶏の健康な卵を売る)
  • 雨水ビジネス(雨水でトイレを水洗する装置の販売&施工)
  • オーガニックマルシェ(有機野菜の朝市を月に2回開催)
  • ソーラーオーブン作りのワークショップ など

思いつきでいきなり始めるには難しいかもしれないが、何か自分でビジネスを始める際にヒントになりそうだ。

「人は正しいことが好きなのではなくて、愉しいことが好きなのだ」(P187)

非電化やソーシャルビジネスというと、どこかストイックで難しそうなイメージがあるが、本書で提案している月3万円ビジネスは、おしゃれで楽しいこれからのビジネスモデルになりそうだ。


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