安曇野移住365日
道端にはラベンダーの花が咲き、夜になるとホタルが舞う季節に戻ってきた。安曇野に移住して1年が経つ。昨年の7月にこの地に立って、これからどうなるのか、1年後のことさえ想像もできなかった(ちなみに、引越した日の夜は布団もなく固い畳の上で寒さに震えていた……)。
振り返ってみると初めてのことばかりの1年だった。車の運転をしたり、庭で野菜を作ったり、冬の未体験の寒さにブルブル震えたり、コーヒーの焙煎を始めたり。また、長年付き合っていたパートナーとも結婚した。
縁もゆかりもない土地で本当にやっていけるのか不安だったけれど、仕事も生活も必死になってやっていれば困った時に誰かしら手を差し伸べてくれるものだ。この1年でずいぶんたくさんの人に助けられた。周りの人の助けがなければこんなにも楽しく過ごすことはできなかった。人とのつながりは大切だなとつくづく思う。
さんざん考えて決断した安曇野への移住であるが、今になってみれば思い切って環境を変えてみて良かったと思う。仕事のことや住まいのことなどはこれから考えていかなければならないけれど、ひとまず今の段階ではうまく暮らせている。
最近仕入れたイタリアの諺で、「凧を持ったら走れ」というのがある。何時いい風が吹くかは分からない。風が吹いても自分が走らなければ凧は上がらない。まずは走りだすことが大事という意味。次の1年はどんなことがあるのだろう。上がった凧が落ちぬように走り続けよう。
玉ねぎガーデンまさかの危機か…
玉ねぎの葉が倒れてしまい、いかにも元気がなさそうだ。しかも球根部分が土から半分くらい出てしまっている。水が足りないのか、それとも栄養不足か……。
元気がなさそうな玉ねぎ
大丈夫かなぁ、と思って知り合いの農家の方に相談したら「それは穫り頃だよ」と言われた。玉ねぎは葉が倒れてから一週間を目処に収穫するそうだ。なるほどそうだったのですね。知らずに2週間以上も放置してしまった……。
穫り頃と分かれば直ちに収穫。球根部分が土から顔を出しているので、簡単に引っこ抜ける。ヒョイヒョイ抜けてなんとも気持ちいい。あっという間に穫り終えた。
収穫した玉ねぎを数えてみたら69個! 大きさはまちまちだけど、思ったよりもたくさん穫れた。肥料もやらずに良く育ったものだ。元々の土が良かったのかもしれない。11月に植えてから収穫までおよそ半年。とても感慨深い。
沢山穫れて思わずにんまり
こんなにたくさんあっても一度に食べきれないので、そういうときは干して乾燥させる。風通しの良い日陰で一週間くらい干すと長期保存ができるそうだ。5玉くらいを三つ編みにして束ねて軒下に吊るした。イタリアンレストランの店内でこんなような飾り物を見たことがあるような。
可愛いですね
玉ねぎガーデンが空いたので次は何を植えようかな。
オシャレで機能的なスパイラルガーデン作りのすすめ
この渦巻状の不思議な石積み花壇は「スパイラルガーデン」。
スパイラルガーデンとは、直径2m、高さ1mほどの渦巻状の花壇のこと。そこに10種類以上のハーブや花を植える。スパイラルガーデンが素晴らしいのは、階層によって棲み分けができ、小スペースにたくさんの種類の植物を植えることができるところ。最上部は水はけが良いため乾燥を好むローズマリーを植え、最下部には湿気を好むミントを植える。中間層にはパセリ、セージ、タイム*1、オレガノ、タラゴンといったハーブや、マリーゴールド(コンパニオンプランツとして虫除けの役割をする)、ナスタチウム(エディブルフラワー*2)などの花も植える。
スパイラルガーデンは高さがあるため、屈まないで収穫できるのも便利なところ。草取りも楽です。材料は、大きめの石と土と植える苗だけ。人数さえ集まれば、お金をかけずに作ることができます。
スパイラルガーデンといえば、パーマカルチャーのシンボル的存在。パーマカルチャーは、permanent(永続的な)とagriculture(農業)を組み合わせた造語で、1970年代にオーストラリアのタスマニア島で暮らしたビル・モリソンとデビッド・ホルムゲレンが唱えたライフスタイル。日本では「持続可能な農的暮らし」などと訳される。平たく言えば、人と自然が共存したエコなライフスタイルといったところでしょうか。
ここから始めます
先日、スパイラルガーデン作りのワークショップを主催した。どのくらい集まるのか見当もつかなかったけど、ふたを開けてみたら20人もの参加者が集まった。20人で一斉には作業できないので2班に分かれて交代で作業。人数がたくさんいたのであっという間に完成。作業にかかった時間はだいたい2時間くらい。以前、知り合いのお庭で作らせてもらったときは、3人で4時間以上かかった。石や土を運ぶのにへとへとになった。大勢で和気あいあいと作業すると楽だしなにより愉しい。
人前で話すのが苦手な筆者*3だけにワークショップでの進行にはやや難はあったけど、たくさんの協力者のおかげでワークショップは無事終了。
参加者で記念撮影
*1:Are you going to Scarborough Fair Parsley, sage, rosemary and thyme♪ サイモン&ガーファンクル「スカボロウ・フェア」歌詞より
*2:“食べられる花”のこと。フレンチ料理などで料理の彩りに使われる
*3:いつか上手く人前で話せるようになりたいな。やはり場数でしょうか……